灑掃・応対・進退の節

おはようございます。

こどもの日の昨日、ふと思い起こしました「にんげん学」講座を始めた最初は「朱子(しゅし)の小学初題」を皆さんとご一緒に学びました。中国宋代に、朱熹(しゅき・朱子)の門人劉子澄(りゅうしちょう)が編集した初学者用の教科書で、朱子がそのできの素晴らしさに感動し、初題(序文)を著したのです。
今日の「小学校」という名称になった「心学の経書」。何故「小学」を選んだかと申しますと、皆さんに大人として親として「どのように子どもにかかわるか」を知っていただきたいと願ったからです。心学は「言行一致」を説きます。知識を頭の中に貼り付けることではなく、「行動するため、実践するため」です。
王陽明(おうようめい)の「伝習録(でんしゅうろく)」に「知は行(こう)の始め成り、行は知の成るなり」と。日常では実践が最も大切です。どう「人様と関わるか」「応対・対応・進退をどうする」かです。
また、今日の人びとの「幼稚さ」といいますか、「大人げない」と考えていたこともあります。そして最も危惧したのは「教えない罪」を感じたのです。子どもをどのように育てるべきかが「茫然自失の如きもの」を感じたのです。親が迷っている故に子どもが迷った生き方をしてしまっている。
「知識が何故必要なのか」。言わずもがな「世の中のお役に立つため」です。どんな風に役立つことが大事なのかです。自分の評価を得るためではありません。「心配りができる人間でなければ役に立てない」のです。
「自己喪失」といいますか、「己の心を外に奪われていることに危惧した」「外に奪われ自分を見失っている人を多く見た」からです。そこで結局、時代、多くの人を指導していくような人間となっていただく端緒(たんしよ)は何かと私自身に問いかけたとき、「一人の人間が大事」という言葉が頭の中に浮かんだのです。「子を持つ親」「上司となる大人」「リーダー、経営者となる一人」の方に先ず、「指導していく正しい精神、見識、信念を持った個々人、指導者をと願った」のです。皆様を通して、一人でも多くの方々を導いていただきたいと願ったのです。「内的生命に立ち返る」、その機縁になれればと考えたのです。
「小学初題(序文)」とは「書物のはじめに著述の趣旨などを書き記した文章」を云います。紹介します。
「古(いにしえ)は小学、人を教うるに、灑掃(さいそう)・応対・進退の節、親を愛し長を敬し師を尊び友に親しむの道を以てす。皆、修身・斉家(せいか)・治国・平天下の本たる所以(ゆえん)にして、而(しこう)して必ず其れをして講じて、之を幼稚の時に習わしめ、其の習(ならい)、知と与(とも)に長じ、化(か)、心と与に成って而して扞格(かんかく)勝(た)えざるの患(うれい)無からんことを欲するなり。今、其の全書見るべからずと雖(いえど)も、伝記に雑(まじ)り出(い)づるも亦(また)多し。読者往々直(どくしゃおうおうただ)に古今宜(ここんぎ)を異にするを以て、之を行う莫(な)きは、殊(はなは)だ其の古今の異(い)無きもの固(もと)より未だ始めより行うべからざるにあらざるを知らざるなり。今、頗(やや)蒐集(しゅうしゅう)して以て此の書を為し、之を童蒙(どうもう)に授け、其の講習を資(たす)く。庶幾(こいねがわ)くは風化の万一に補(ほ)あらんと云うのみ。 淳煕丁未(じゅんきていみ)三月朔日(さくじつ)  朱晦庵(しゅかいあん)題」
少し意を書きますと「「灑掃」は拭き掃除、それに応対・進退の節というような作法、人様に対したときのマナーです。こういう根本的なことができて初めて、修身・斉家・治国・平天下ということがだんだん発展することが出来るのです。」
いわゆる、学問が何故大切か、必要なのかを知る「基礎知識」です。基礎知識なくして学問は進まないのです。その他、いかなる問題にしても、それを進めていく上での原理・原則というものがあります。基礎条件、根本法則、ルールです。したがってやかましいルールをなくしてしまってはスポーツもできませんし、碁や将棋もできなくなるのです。
そのルールが窮屈だ、面倒だといって無視したのではメチャクチャになってしまい、何もかも成り立ちません。したがいまして社会国家、家庭生活、人間生活のルール、根本法則、基礎原理、これを教えたのが「小学」なのです。
「子は国の宝」。己の事しか考えないような人間に育ててはいけません。また機会をつくり小学の内容を書きまして、心学の重要性を知っていただきたいと願っています。
「小学」は人間生活の根本法則。故に昔から、人を教えるに「小学」を以てしたのです。今の小学校ははなはだ?ではありますが、人間生活の「よって立つ基本は何といっても道徳」です。その道徳の基本的な精神・情緒といったものを「培養して初めて人間生活は豊に発達する」のです。特に灑掃(掃除)などはとても大切です。じっくりと小学初題をご家族で声に出しお読み味わってください。

世界平和をお祈りいたしましょう。Flower in your mind・ありがとう・心に華を咲かそう。
日々の徳目、勤勉・質素・社会と人のために一隅を照らす。  合掌
私たちは熊本・大分地震の復興支援を応援します。ボランティアの皆さんお休みの中ご苦労様です。お気をつけてご支援ください。ありがとうございます。
ベランダから鯉のぼり、親御さんの子どもにかける思いが伝わります。


Iさんがローソク立てをお掃除に来てくださいました。連休でおまいりの方が沢山でした、ありがとうございます。